ウオッカについて思ったこと

 ヴィクトリアマイル開催の東京競馬場。先日のNHKマイルより多い気がする。それはそう、あの牝馬のダービー馬ウオッカが出走するからだろう。調子が悪いのではないか、など色々な憶測があり、馬券的に切った人もいるだろう。でも、皆馬券的には負けてもウオッカが一着でゴールすることを望んでいたんじゃないかなあ。先日のメイショウサムソンもそう。でも、ウオッカの場合、もう少し違う、アイドルであり、ヒロインであり、女傑である。何かスケールが違う馬なんだよね。勿論ダービーというタイトルが彼女を作ったのは確かだけど、それ以上に彼女自身が持つオーラがある。

 パドックからコースに入る、実況の紹介と共に。適切で感慨深いコメントを添えたその紹介はどの馬に対しても愛情がわく。大型ビジョンに、その返し馬の姿が映し出される。でも、ウオッカはポツポツと歩いていた、武豊を背に。ドコドコっと探すと、外ラチ沿いにいた。大群衆の前ですよ、大群衆の目の前をウオッカがすまして歩いていく。やがて、それに気づいた観客がどよめく。そのどよめきを受け、凛と首を上げ、風の行く先を探すようにターフに駆け出して行った。何気ない場面かもしれない、でも僕には東京競馬場の空気そのものがグルッと入れ替わるようなダイナミックな動きを感じた。