新平家物語

新・平家物語 [VHS]

新・平家物語 [VHS]

 これも奇しくも、「平氏に非ずば人に非ず」で有名な平清盛という何となく悪役イメージで教育されてきた自分の固定概念を考えさせられる映画でしたね。大映ニュースで原作者の吉川英治が言うように、この人物、実はスゴく魅力的な人物なのかもしれないね。そうなんだよなあ、なんとなく源氏を良いように思い、義経を悲劇のヒーローと考えてしまう、そういう思い込みはある種操作されているんだよなあ。そう考えれば、どちらが正しいわけじゃないよね。そういう歴史があっただけこと、もっと言えば、ただそういう事実が殊更強調されたこと。本当は平氏だろうが源氏だろうが、島国の片隅の事なのよ、実際は。ボクの生まれた九州じゃカンケーねーことじゃん。

 さて、さすがに雷蔵も若い。その若々しさがいい感じだね、ま、それを狙った映画なんだろうけどね。しかし、まるでベンハーみたくハリウッド作品に劣らぬ雰囲気は溝口健二なんだろうか、カットの作りが美しい。なんちゅーか、よかですよ、この時代の日本がどうなのかわからないけど、この映画で垣間見える日本は野性的で国際的で、武士道なんてやせ我慢じゃなくて、生き生きしてる。丁度、昭和戦前の古色めいた感じとは正反対なんだな。ボクはこちらが日本なんだと思うんだけどね。絶対「美しい日本」なんて違うと思ってたけど、そうなったね、日本はたくましいのよ、それがホントだと思う。それがいいかわるいかは言えないよ、美学は誰しもあろうけど、日本に美学は似合わないと思うな、ボクはね。