ショーシャンクの空に

 全体のナレーションはもう一人の主人公である"レッド"だ、彼が素晴らしい。見るからにブルースマンな感じで実にかっこいい、そのかっこよさは終盤にさしかかると凄まじいオーラで輝き出す。まあ、それは見れば誰でもそうなることは予想できるけどね。主人公のアンディが謎めいていて、その対比から「抜け出した瞬間」、彼はアンディと過ごした長い月日で彼自身も変わったことが実に強調されている。その、彼がバクストンに向かうシーンが実に美しい、生きることを、そう本来「生きること、そのものが自由である」ことだと、私は感じました。

 一方、アンディなんですが、謎なんです。今イチ彼が何を象徴しているのかわからないんです。ただ、彼がいう"希望"が我々の理解しているような希望じゃないような気がする。真実、というニュアンスもあるし、聖書が重要な意味合いを持っているような気もする。

 直接的には罪の話で、アンディの存在もレッドの存在も、そして所長の存在もその観点で見ると結構深いテーマのような気がするけど、まあこんな場なんでそれを兎や角書きませんが、この映画を見る2時間程度の時間を無駄に過ごした、と思わない事は確かですね。

 本DVDには監督直々の全編解説が着いている。まー、余計な気もするけど、最後の最後の映画人としての思いを述べるところは素直に感動しました。そう、(映画に)どこか自分の苦しみを当てはめながら希望を探している、と。