無限に延長する成長でなく、程よい成長
- 作者: 飯田経夫
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1997/10
- メディア: 新書
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バスまで10分程度の待ち時間、ちょっと覗いた古本屋さんでタイトルだけで購入。ちょっと読み始めたら面白くてあっという間に読んでしまった。こういう経験は乱読家?ならではか。
アダム・スミス、マルクス、ケインズと資本主義の歴史を辿っていくのだが、特にアダム・スミスの項、それまでいかがわしいものとされていたカネ儲けを是認し人間のエネルギーを解放した「資本主義の青春時代」はなるほど、と。マルクスの資本主義批判の価値、そしてケインズ経済が歪んでいく人間の本性など、10年前の本だがほぼ問題意識は今に通ずる。というか、未だ日本は混迷にあることを理解できる。経済という切り口ではあるが、このような経過を辿っているのは科学もそうなのではなかろうか。つまり、産業革命から起こった文明が終わりを迎えつつあり、今何か大きな変化の渦中にあると思う。うまくは言えないけれど、経済でも科学でも根底のパラダイムは同じで、そういうやり方がそぐわない時代、たぶん地球の限界をリアルに意識させられる為、無限に延長する成長でなく、程よい成長をコントロールせねばならない、そのことがパラダイムを変化を促しているのでは、と。それが技術だけでなく人間の制御をも含む、それが実に科学的でないということなんじゃないかなあ。