眠狂四郎 無頼控 魔性の肌

 うん、見終わるのが惜しかった。まあ、最初に不満を言っておけばバックの音楽がうざい。まるっきりその時代の音なんだよね。文句を言うわけではないがと嘘を言ってもしょうがない、はっきり言って音楽がうざい。まあ、最後だけはよかったと言っておこう(と狂四郎風)。

 結構酒が進んで、うむバランタインだ、今はへろへろだけど、もーめちゃかっこいい。鰐淵さん、めちゃキレイ。これを見るだけでも価値がありそう。久保さん、可愛い。これを見るだけでも価値がありそう。女の情念がこんなに美しく描かれたのはないんじゃなかな。鰐淵さんの息絶える笑顔、裏切りの久保さんの涙の抱擁は男にはたまんないね。ああ、生と死に直面している性はこの世で一番美しい光景じゃなかろうか。おお、俺は澁澤龍彦バタイユみたいなことを言ってんな。いい映画だよ、俺の価値観は俺が生まれた頃に止まっているかもしれない。おらー、こんな映画を見てへらへら最近のガキとバカが出まくってるテレビなんて見る気がしねーぜ。まあ、ガキとバカに罪はちっとしかねーけどな、そいつらを銭に替えて時代を作ってる気がしているヤローどもが一番気にくわねえけどね。

 でも、初めてじゃないかな、狂四郎は鰐淵さん演じるヒロインに惚れてたんだね。それ故この映画の緊迫感というか見るものの目を離させない感じがあったんだな。少々凝った仕立てはあったけど、いい映画です。酒と涙を用意して見ましょう。それにしても、成田さんは日本一のカルト・ヒーローだな、彼にはそう、緒方拳、松田優作も及ばない、だれもそして今もその役をやらせて彼以上の役者を知らない、きっと岸田森だけだろ、彼に匹敵するのは。