モータサイクル・ダイアリーズ

 若き日のチェ・ゲバラの物語。チェ・ゲバラ浦和レッズのサポータにはおなじみの人物である。北のゴール裏メイン側に彼の顔ははためいている。何故彼の顔が掲げられているのか僕は知らないが、この映画に描かれているような"バカ正直"さは、幾分ふさわしいのかもしれない。

 今となっては牧歌的な共産主義に憧れる人はいないかもしれないが、僕らの頃はまだ名残があった、というより僕がそうだった、ってことなんだけど。でも僕は行動するほうではないので、頭の中での空想でしかなかった。チェ・ゲバラがそういう牧歌的な"バカ正直"だったかどうかは知らない。ただ、彼がキューバを離れ世界革命的な活動をしていたのは、パラノイアック、そうやはり"バカ正直"なのかなあ。

 映画はおきまりのような饒舌な青春ドラマが、次第に主人公たちが沈黙していく。そして、風景と人がスナップされていく。彼らとともに僕も経験していく。何か違うのではないか、今この状況は!、と感じ始める。それは時間を超えて、今の時間でもそう感じるのさ。いい映画って、そういう時空を超えるんだろうな。はい、文句無くいい映画でした。