西の果て

網野 善彦「古文書返却の旅」を読み始める。

古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書)

他のアミノ本とは違い、氏自身の回顧に沿って話は進む。意外に面白い。まず、対馬の話が出てくる。対馬は言ったことはないが、福岡に住んでいたので、その言わんとする感覚は伝わる。氏は対馬と韓国の物理的な近さに言及しておられるが、福岡の方言(というか言葉のリズムなんだが)、博多も小倉もそう感じるのだが、朝鮮語のリズムに非常に近いと思う。先日北九州に行った際、I君と焼肉屋に行ったのだが、確かに朝鮮のかたが多かったのだが、いくらかいた地元の人の言葉も、私には朝鮮語のように聞こえた。

民族的な系譜を云々するつもりはないけど、網野さんが言うようないにしえの海民の活動を些細なことに感じた次第なのです。ちなみに、長崎出身のI君は、「こんなところで、多感な時期を過ごすと、なにがなんでも船に乗ってどこでもいいからいかなくては、という気持ちになるのである。」とのことです。彼の体を流れている血は海民の血です。http://d.hatena.ne.jp/tapio/20050818